『跡継ぎ』とは?後継ぎとの違い 何をするの?事業の後継ぎの役割

近年、これから日本社会の課題として、高齢化社会の問題が大きく取り沙汰されています。2025年には「団塊の世代」が75歳以上になる時代を迎え、若手世代に対して高齢者の比率がきわめて高くなることになります。

高齢化社会は、事業者・経営者にとっては「経営者問題」として顕在化します。経営者が高齢化した際に、後継者が見つからずに廃業するケースも多く、2025年までに国内の企業のうち3割が廃業するという国の試算もあります。

そうした中で近年、「跡継ぎ」「後継ぎ」を活用した事業承継が注目を集めています。この記事では、「跡継ぎ」「後継ぎ」とは何か、どのように活用できるか、といった点について解説します。

「跡継ぎ」とは?後継ぎ?違い&何をするの?

この章では、「跡継ぎ」とは何か、「後継ぎ」との意味の違いについて見ていきましょう。

事業者にとっての「跡継ぎ」の意味

日本の会社の99%を占める中小企業を中心に、後継者問題が深刻化しています。

「東京商工リサーチ」によると、企業の廃業や休業は2016年に2万9000件以上起こり、この数字は10年間で約40%増加しているとのことです。こうした背景には

  • 経営者の高齢化
  • 後継者不足

といった要因があり、こうした問題を回避するために外部から招き入れる「後継ぎ」「後継ぎ」の意義が注目されているのです。

辞書の定義によると「跡継ぎ」には、「家のあとを継ぐこと」「地位・財産・業務などを受け継ぐこと」といった意味があります。

つまり、経営者・事業者にとっての「後継ぎ」とは、自分の会社の経営を引き継いでくれる人材を指します。事業承継をスムーズに行うために、跡継ぎは何をするのでしょうか。

事業者の立場から見ると、跡継ぎは「代表取締役社長」に就く、自身の持つ持株を引き継ぐ、会社の業務を把握し滞りなく引き継ぐ、といったことを行う必要があるのです。

「跡継ぎ?」「 後継ぎ?」 違いは?

ここまで、主に中小企業の話を中心に進めてきたため、「跡継ぎ」という漢字を使ってきました。実は、この「跡継ぎ」「後継ぎ」という二つの言葉には微妙なニュアンスの違いがあります。

この節では「跡継ぎ」と「後継ぎ」の違いについて解説します。

語義的には、跡継ぎの意味は「家のあとを継ぐこと。学問・技芸などで,師匠の仕事を受け継ぐこと」とされています。

その一方、後継ぎの意味は「地位や財産、業務を引き継ぐこと」となり、こちらは一般に使われる「後継者」と近いイメージになります。

跡継ぎが「家のあとや技能を継ぐこと」であれば、ビジネス上では後継ぎを使うことが正確なように思えますが、後継者問題が話題に上る際には「跡継ぎ」が使われることも珍しくありません。実際に、日本語の使い方に厳密なNHKでも「跡継ぎ」が使われることもあります。

これは現在の後継者問題が、主に中小企業で起こっていることと関係があります。国内の会社の99%を占めるとされる中小企業ですが、その多くは家族経営の小さな事業所になります。こうしたケースでは、ビジネスパートナーとして会社の後を継ぐをことが、同時に家族経営の会社の跡を継ぐことを意味することになります。

そのため「跡継ぎ」を使うことも間違いではないと考えられます。

似たような言葉として「跡取り」があり、こちらは家督や家を継ぐ人を指します。「跡取り」と「跡継ぎ」は、跡継ぎが「家のあとを継ぐこと、またはその人」を指すのに対し、跡取りは「家のあとを継ぐ人」と主体にフォーカスしているという違いがあります。

人材不足が社会問題している「後継者」

中小企業庁がまとめたデータによると、経営者の年齢層は1982 年時点では30~40 歳代が大きな割合を占めていましたが、2012 年には60~64 歳の層が全体に占める割合が最も高くなっています。


中小企業庁「事業承継・廃業ー次世代へのバトンタッチー」p.247

別の調査によると、自分が引退した後も事業を承継させたいと考えている経営者は全体の95.1%に上ります。

このうち、後継者を既に決めている企業は44.0%、まだ決めていないものの候補者がいる企業は37.1%、後継者の候補者もいない企業が18.9%となっています。

「中小企業経営者の抱える事業承継問題」

後継者不足の状況を受けて、ここ数年、注目されているのが、「M&A」で事業や企業そのものを売却して引き継ぐ方法です。

全国の商工会議所などには、国が推し進めるM&Aをサポートする「事業引継ぎ支援センター」が設置されてるほか、民間でも多くの事業承継支援サービスが登場しています。

事業を後継ぎすることの意味・役割

ここまで、ある事業において後継者が見つかり、スムーズに事業承継が行われることで、企業は廃業や休業を免れることができることを見てきました。

この章では、なぜ事業を継ぐのかという意義や必要とされる能力、求められる役割などについて解説します。

後継者が見つかることの意義

後継者問題にぶつかる企業が跡継ぎを見つけることの意義には、

  • 会社の歴史と事業の継続
  • 会社が持つ技術・知識の継承
  • 取引先との関係の継続
  • 従業員の解雇を回避

といったことが挙げられます。

長い年月にわたり業界の中で生き抜いてきた企業には、さまざまな技術や知識が蓄積されています。それが、替えの利かない技術やノウハウであれば、廃業によってそうしたものが失われることは、産業や国にとっても大きな損失になります。

また、取引先との関係や熟練した従業員など、会社には他社から見れば羨むようなリソースが豊富にあるケースも珍しくありません。

事業承継を円滑に行うことで、後継者はこうした会社の持つ資産を活用し事業を継続し、展開していくことができるのです。

継ぐことで得られるメリット

後継者は事業承継を行うことで、会社に元々あるリソースを利用でき、新規参入した時と比べて大きなアドバンテージになることを説明しました。

このほかに、会社を引き継ぐ当人にとっては、

  • 社会的な地位が手に入る
  • 経営者としての経験
  • (ビジネスを展開していれば)現在の業務とのシナジー

といったメリットを得ることもできます。

通常のサラリーマンを例に考えると、20代や30代で会社の経営者に抜擢されるような例はめったにありません。どんなに早くても40~50代で代表になるケースが多いですが、そうしたポストを射止めるためには社内外での厳しい競争に勝ち抜く必要があります。

事業承継で後継者になった場合は、こうしたポストに比較的若い年代から就くことができ、勤め人では関わることのできない経営者としての経験も積むことができます。

また既にビジネスを展開している場合は、現在の業務とのシナジーを生むこともできます。実際に、一見関係ないと思われる業種の経営者が、後継者問題に悩む中小企業を引き継ぎ、周囲があっと驚くようビジネスモデルを展開した例もあります。

必要とされる能力

事業を承継し、後継の経営者として企業を切り盛りしていくためには、様々な能力が必要とされます。

よく言われるのは「財務力」「営業力」「決断力」「課題解決力」さらには、従業員を適材適所でうまく活かすための「コーチング力」や「モチベーターとしての能力」などです。

確かに、企業を経営するにあたってはこうした能力は重要です。ただ、こうした力をつけるための経営者向けセミナーが多く開かれているほか、現場で仕事を進める中で身につくものもあります。

そのため、ただ一つ事業を引き継ぐために最も大切なのは「後継者としての覚悟」と言えるでしょう。

事業承継は就職や転職とは責任の重さが違います。経営がうまくいかなくなったとしても、途中で投げ出すことはできません。どんな困難に直面しても、会社の発展のために努力し、ベストを尽くす覚悟を持っていることが、最初の段階では一番大切だと言えるかもしれません。

まとめ

高齢化社会が進む中、事業者・経営者は「経営者問題」と向かい合っています。後継者が見つからずに廃業するケースも多く、「跡継ぎ」「後継ぎ」が注目を集めています。

この記事では「跡継ぎ」と「後継ぎ」の違いや「跡継ぎ」問題の背景について解説してきました。

跡継ぎは「家のあとを継ぐこと。学問・技芸などで,師匠の仕事を受け継ぐこと」とされる一方、後継ぎは「地位や財産、業務を引き継ぐこと」となります。ビジネス上では「後継ぎ」を使うことがふさわしいように思えますが、中小企業の多くが家族経営であるため「跡継ぎ」が使われることも珍しくありません。

後継者の意義としては、社会にとっての意義、本人にとってのメリットという側面から解説してきました。

跡継ぎ問題では、M&Aによって事業を承継する方法が注目を集め、国だけでなく民間による中小企業のM&A支援サービスも数多く登場しています。

跡継ぎ問題で悩んでいる事業者の方も、事業承継を検討している方も、利用してみてはいかがでしょうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする