事業承継アドバイザーのすべてと、活かせる仕事年収は?

中小企業庁によれば、中小企業経営者の平均年齢は、過去20年で47才から66才へ大きく高齢化が進んでいます。2020年頃には数十万単位で段階世代の経営者が引退時期にさしかかる状況です。また、直近10年では、法人経営者の親族内承継の割合が急減し、従業員や第三者への親族外への承継が6割を超える状況となっています。しかし、過半の企業では事業承継の準備が進んでいないというのが、現状です。更に、事業承継について相談相手がいないと回答した方は、36.5%という状態です。

この様な状況の中で、平成23年度より中小企業の事業引継ぎ支援を行う事業引継ぎ支援センターの設置が進められています。

事業承継は、経営者としての資質を育て、企業の理念や企業文化、社員への想い、取引先との信頼関係といったものを引き継ぐ経営承継と、株式はもちろん会社の財産を次期経営者に引き継ぐ資産承継を合わせたものであり、単なる相続とは全く別次元のものであることをご理解いただく事がとても大切です。さらに事業承継は単に引き継げば良いというものではなく、引き継いだ後、企業がしっかりと繁栄していくかどうかがとても重要です。

この様に事業承継にとって重要なポイントは多岐に渡るため、そのポイントに長けたプロのアドバイスが必要となります。

 

事業承継アドバイザーとは?

事業承継には、その計画の立案、後継者の選択や育成方法、事業承継の各種手続き方法、相続税や贈与税などの税務知識、親族間トラブルに対する対処方法、会社や個人資産の評価方法、国や自治体などによる支援制度に関する情報など、必要な専門知識が多岐に渡ります。

これらの内容は、公認会計士、税理士、弁護士、不動産鑑定士、司法書士、社会保険労務士、中小企業診断士など専門家の知識が必要となります。しかし、経営者自らこれら多方面への相談を最適に組み合わせることは、非常に難しい作業であり、最適な事業承継の為の支援が必要となります。

事業承継アドバイザーはこうした知識の取りまとめの専門家で、事業承継を迅速かつ円滑に進めるためのお手伝いをします。

事業承継アドバイザーは、現在以下の3団体によって与えられる資格となっています。

 ①認定団体 金融検定協会 資格名:事業承継アドバイザー(BSA

・従来事業承継は、主に自社株相続についての法務と財務が問題でしたが、後継者難の中小企業が全体の40%を占める状況になり、その解決策としてM&AMBO等の外部承継が注目されています。この手の悩みを持つ経営者の相談役として、金融機関の事業承継アドバイザーの活躍の場が広がっています。

URLhttp://www.kintei.jp/kentei/kentei_bsa.html

 ②認定団体 経済法令研究会 資格名:事業承継アドバイザー3

・主に銀行・保険・証券等の金融機関の職員を対象に実施されている銀行業務検定試験

の一つとして実施されています。

URLhttps://www.khk.co.jp/exam/exam_detail.php?pid=52166&oid=12

 ③認定団体 金融財政事情研究会 

資格名:金融業務2級 事業承継・M&Aエキスパート、事業承継シニアエキスパート

・金融機関の行職員に求められる基本的な業務知識・実務への対応力を確認するための金融業務能力検定の金融業務2級の1コースとして設けられています。CBTComputer-Based Testing)方式という、テストセンター内のコンピューターを使用して実施する試験方式で行われ、試験問題にマウスやキーボードを使って回答を行います。試験結果が試験終了後に配布されるスコアレポートで確認可能となっています。 

URL: https://www.kinzai.or.jp/kentei/2e3.html

①及び③は銀行をはじめとして、生命保険、消費者金融、クレジットなど広く金融業界

勤務者を対象にしており、②は銀行や信用金庫などの金融機関の従業員が対象となっています。

また、その他事業承継支援に関する資格として、以下2つがあります。

④認定団体 株式会社事業承継センター 資格名:事業承継士

・団塊世代の引退時期を迎え、事業承継問題が注目される中で、事業承継の専門家の圧倒的な不足を解決することを目的として、事業承継コンサルティング企業が認定している資格です。 

URL: http://www.jigyousyoukei.co.jp/shoukeishi/#page01

⑤認定団体 事業承継検定協会 資格名:事業承継スペシャリスト

・事業承継を扱う職種の方を対象に、事業承継に関する知識を網羅した事業承継スペシャリスト検定講座受講者が受験することで得られる資格です。上級資格として、事業承継マイスター検定講座受講者を対象にした事業承継マイスター検定も設けられています。

URL: http://jigyo-sk.com/

 

事業承継アドバイザーの試験内容、合格率は?

では次に、①から③の各試験内容と合格率についてご説明します。

 ①事業承継アドバイザー(BSA)試験

 試験科目:5科目

 ・法務(相続法務/会社法/経営承継円滑化法による金融支援

 ・税務(相続税/贈与税/非上場企業の株式評価/相続税・贈与税の納税猶予制度/税務対

     策)

 ・企業価値評価(事業承継とデューデリジェンス/DCF法による評価/不動産の評価/

        その他資産・負債の評価

 ・事業承継アドバイス(後継者がいないケース/外部からの後継者受入/承継計画/事業

            承継アドバイスとコンプライアンス)

 ・戦略的承継対策(M&A(株式)/M&A(会社分割)/M&A(その他)/MBOによる対策

         /MBO時の資金調達/その他の承継対策

 出題方法:五答拓一式問題 50

 合格基準:60点以上(但し試験結果を踏まえ試験委員会で決定)

 受験料:7,200円(税込)

 試験日程は、金融検定協会へお問い合わせください。

 合格率については、非公表となっています。

 

 勉強法:事業承継アドバイザー講座(3カ月コース)が用意されておりテキストは銀行研

     修社から発売されています。受講料14,400円(税込)

     URL: http://www.ginken.jp/products/detail.php?product_id=772

 ②事業承継アドバイザー3

 試験科目:3科目

 ・事業承継の基本知識(事業承継対策の基本と必要性/各種の承継方法の概要)

 ・事業承継と金融実務(取引先の現状把握と課題の認識/承継方法の決定と計画の立案/

            各承継方法共通の基本知識/親族内承継に関わる基本知識/親族外承継(従 

            業員)に関わる基本知識/親族外承継(第三者)に関わる基本知識/M&Aの 

            基本知識/廃業等)

 ・その他関連知識(他の機関等の事業承継関連の制度等/事業承継に関わるコンプライアンス)

 出題方法:四答拓一式問題 25問(各2点)、事例付四答択一式5事例 10問(各2点)、記述式3 

      問(各10点)

 合格基準:満点の60%以上(但し試験結果を踏まえ試験委員会で決定)

 試験時間:180

 試験日程:20181028日(日)

 受付期間:201882190020189112330

 受験料 :4,320円(税込)

 合格率 :55%(201610月)

 

 勉強法:事業承継アドバイザー3級受験用の問題解説集が銀行業務検定協会より発売さ

     れています。価格:2,700(税込)

     URL: https://www.khk.co.jp/book/book_detail.php?pid=52886

     事業承継アドバイザー3級対策講座が㈱経済法令研究会により開催されていま

     す。 9,720円(税込)

     URLhttps://www.khk.co.jp/seminar/seminar_detail.php?pid=52898

 ③金融業務2級 事業承継・M&Aエキスパート

 試験科目:事業承継関連税制等、事業承継関連法制等、M&A基礎知識・関連、M&A

      連法制等、総合問題の5科目

 出題方法:四答拓一式問題 30問、事例問題 10

     CBTComputer-Based Testing)方式により実施

 合格基準:100点満点で70点以上

 試験時間:120

 試験日程:2018416日から通年実施。
      受験者ご自身が予約した日時・テストセンターで受験します。

 受験料 :7,560円(税込)

 合格率 :非公開(見込み7075%前後)

 

 勉強法 :きんざいファイナンシャル・プランナーズ・センターより、試験対策問題集

     (1,800円+税)と3か月間の添削講座「事業承継入門講座」(14,040円 税

      込)が用意されています。

      URL: https://www.jme-a.jp/guide/jmae/jm_book.html

 

 ④事業承継士

 ・事業承継士資格取得講座の受講(75%以上の出席)が受験条件

 ・合格後事業承継協会への入会が必須

 試験科目:事業承継士資格取得講座で使用したテキスト、およびその項目に

 関連する内容

 出題方法:選択/記述の混合方式

 合格基準:100点満点で60点以上

 試験時間:120

 試験日程:講座内での通知

 受験料 :9,000円(税別)

 合格率については、非公表となっています。

 

 勉強法 :事業承継士資格取得講座の受講 300,000(税別)

      URL: http://www.jigyousyoukei.co.jp/shoukeishi/

 

 ⑤事業承継スペシャリスト

 ・事業承継スペシャリスト検定講座の受講内で実施

 試験科目: 事業承継スペシャリスト検定講座内容から出題

 試験日程: 事業承継スペシャリスト検定講座受講後

 合格率については、非公表となっています。

 

 勉強法 :事業承継スペシャリスト検定講座 108,000円(5講座受講料、テキスト、

      検定料・資格認定料含む)

      URL: http://jigyo-sk.com/product/

  

事業承継アドバイザーの資格を活かせる仕事や年収は?

①、③については、銀行をはじめとして、生命保険、消費者金融、クレジットなど広く

金融業界において、顧客経営者の相談相手となるために、資格を名乗る事で、信頼感が高まります。

②については、銀行や信用金庫などの金融機関の渉外担当者として事業承継時の取引先

の状況把握から承継時におけるアドバイス業務の需要があります。

また、金融機関で経験を積むことで、事業承継コンサルタント企業からも募集も多くみられます。

年収については、経験による所が多く、経験者であれば年収800万円から1,000万円程度での募集があります。

 

 

事業承継アドバイザーまとめ

事業承継のコンサルタントは、税理士や弁護士、司法書士など多方面への依頼が必要となります。そんな場合にトータルに相談に乗れる役割が事業承継アドバイザーです。手間や費用の面でも効率的に仕事をお願いできる存在です。

事業承継アドバイザーに求められるのは単なる資格の有無ではありません。事業承継に関わった経験の豊富さ、法務や税務、経営など幅広い知識をもっていること、法律、会計・税務などの専門家など多方面との繋がりなどが、求められます。

事業承継アドバイザーは、主に金融機関業務と並行して事業承継のアドバイスを行いますので、金融機関にお勤めの方は是非取得を目指すべき資格です。

また、事業承継士は民間企業の認定資格ですが、求められる知識は中小企業診断士、弁護士、司法書士、行政書士などに求められる事業承継に関する知識ですので、事業承継アドバイザー同様事業承継の経験、幅広い知識と人脈といった面がとても重要です。

事業承継アドバイザーや事業承継士は総合的な知識を生かして事業承継を進めて行くやりがいのある仕事として注目されています。

 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする